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2025.10.09

顔認証システムとは?
導入のメリットや活用シーン、カメラの重要性を解説

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顔認証システムとは?導入のメリットや活用シーン、カメラの重要性を解説

近年、デジタル技術の進化とともに、セキュリティや業務効率を高めるツールとして顔認証システムの導入が急速に広がっています。オフィスビルの入退室管理や工場のセキュリティゲート、商業施設の不正入場防止、さらには学校や病院での出欠確認や健康管理まで、その活用範囲は多岐にわたります。

顔認証は、従来の暗証番号やICカードのように「忘れる」「盗まれる」といったリスクがなく、カメラに顔を向けるだけで認証が完了するため、非接触かつスピーディーに本人確認を行えるのが大きな特徴です。

本記事では、顔認証システムの基本的な仕組みをはじめ、導入によって得られるメリットや具体的な活用シーン、認証精度や運用効率を大きく左右するカメラの選び方や設置のポイントまで、実践的な視点で詳しく解説します。

顔認証システムとは

顔認証システムとは

顔認証システムは、目や鼻、口の位置や形状といった顔の特徴を分析し、その組み合わせから個人を特定する技術です。人間の顔は一人ひとり異なり、同じ人は存在しません。この唯一性を利用することで、他人が真似することが難しく、高い精度で本人確認が行えます。

従来のパスワード認証では、数字や記号、アルファベットを組み合わせて設定しますが、解析ソフトを使えば短時間で突破される危険性があります。これに対して、顔認証は顔の立体的な構造やパーツの位置関係といった膨大な情報を使うため、不正アクセスされるリスクを大幅に減らせます。

顔認証システムの仕組み

顔認証システムの仕組み

顔認証システムは、カメラやセンサーで取得した顔の情報を解析し、登録済みのデータと照合することで本人を特定します。顔認証システムは、仕組みに応じて次のような種類に分類されます。

ビジュアル方式

カメラで撮影した顔画像をもとに、目や鼻、口などの位置や形を解析し、登録された顔データと照合して本人確認を行います。スマートフォンやパソコンなど、日常的に使う機器でも利用できるため導入しやすいのが特徴です。ただし、光の加減や髪型、化粧の変化などによって認証精度が影響を受けることがあります。

IR方式

赤外線センサーを使って顔を立体的に捉えることで、より高い精度の認証を実現します。髪型や化粧の影響を受けにくく、暗い場所や光の条件が変化する環境でも安定して認証できるのが強みです。利用には赤外線認証に対応した専用の機材が必要なことに留意が必要です。

顔認証システムの認証方法

顔認証システムには、顔データの保存場所や照合方法によっていくつかの運用形態があります。大きく分けると、デバイス単体で認証が完結するタイプと、クラウド環境と連携して認証を行うタイプがあり、それぞれに利点と注意点があります。顔認証システムの認証方法の種類は下記のとおりです。

デバイス完結型

あらかじめ端末内に顔データを登録し、照合も端末内で行う方式です。登録時には顔データとともに氏名やIDなどを紐づけ、オフライン環境でも認証が可能です。インターネット接続を必要としないため、通信環境に左右されず、情報の外部流出リスクも比較的低く抑えられます。

クラウド方式

顔画像を解析して作成したデータをクラウドに保存し、認証時にはカメラで取得した顔情報をクラウド上のデータと照合します。常にインターネット通信が必要で、利用範囲は通信環境に依存しますが、複数のデバイスや拠点で同じ顔データを共有・活用できるのが強みです。一方で、個人情報をクラウドに預けるため、セキュリティ管理には高い水準が求められます。

顔認識と顔認証の違い

「顔認識」と「顔認証」は名前が似ていますが、目的と機能に明確な違いがあります。顔認識はカメラ映像や画像の中から人の顔を見つけ出し、その顔から性別・年齢・表情などの属性を分析する技術です。これに対し、顔認証は認識した顔をあらかじめ登録された顔データと照合し、特定の人物であるかどうかを確認する仕組みです。

この違いから、顔認証は入退室管理や改札ゲートの通過、チケット転売防止など、厳密な本人確認が必要な場面で活用されています。

顔認証システムを導入するメリット

顔認証システムを導入するメリット

顔認証システムを導入するメリットは、単に本人確認をスムーズにするだけではありません。高度なセキュリティ機能によって不正侵入やなりすましを防ぎつつ、利用者にとっては非接触でストレスのない認証を実現します。さらに、専用機器を必要としない導入のしやすさや、業務の効率化・人件費削減にもつながる点が魅力です。顔認証システムを導入するメリットについて詳しく見ていきましょう。

セキュリティの強化

顔認証システムは、暗証番号やICカードのように「盗まれる」「失くす」といったリスクがなく、偽造も極めて難しいのが大きな強みです。たとえば、従来のカードキー方式では紛失や不正コピーがセキュリティ上の懸念点でしたが、顔認証であれば本人以外の入室はほぼ不可能です。さらに、複数人が同時に入ろうとする「共連れ」行為も検知できるため、オフィスや研究施設など高いセキュリティが求められる場所で効果を発揮します。

また、認証の際にカメラへ顔を向けるだけで通過できるため、荷物を両手に抱えているときや、手袋を着用しているときでもスムーズに入退室できます。非接触型のため、衛生面にも配慮できる点もメリットです。

利便性の向上

顔認証システムは、高額な専用機材を新たに購入する必要がなく、一般的なWebカメラやIPカメラ、サーバーやクラウド環境を活用して導入できます。既存の監視カメラや勤怠管理システムとの連携も可能であり、企業や施設がすでに持っているインフラを活かせる点は大きな導入メリットです。

さらに、非接触で本人確認を行えるため、接触による感染症リスクを避けられるという衛生面での安心感もあります。検温機能付きのモデルを導入すれば、セキュリティと健康管理を同時に実現できるため、オフィス・学校・病院など幅広いシーンで活用できます。

業務効率化

顔認証システムでは、社員や来訪者の顔データを事前に登録しておくだけで、入退室時の本人確認を瞬時に行えます。その結果、受付業務の待ち時間を大幅に削減でき、受付担当者の業務負担を軽減することが可能です。人件費の削減にもつながるため、コスト面での効果も期待できます。

さらに、入退室の履歴はシステム上に自動で記録されるため、誰がいつ入退室したのかを正確に把握できます。万が一トラブルが発生した場合でも履歴をもとに迅速な原因究明が可能となり、セキュリティ管理体制を強固に維持できます。

顔認証システム導入の注意点

顔認証システムは、利便性やセキュリティ面で多くのメリットがありますが、導入にあたってはリスクや課題も理解しておく必要があります。特に、サイバー攻撃による不正アクセス、製品による認証精度の違い、個人情報としての顔データの適切な取り扱いは重要なポイントです。顔認証システム導入の注意点について詳しく見ていきましょう。

不正アクセスが起きる

顔認証システムは高い安全性を誇りますが、類似した顔や写真を悪用したなりすまし、動画や画像を用いた不正突破といったリスクを完全に排除することはできません。また、顔データは極めて機密性の高い個人情報であり、万が一漏洩すれば重大なプライバシー侵害となります。

特にインターネットに接続して運用している場合は、サイバー攻撃の標的になる可能性があり、ハッキングによってシステムが乗っ取られる危険も否定できません。そのため、暗号化や多要素認証の導入など、複数の防御策を組み合わせることが重要です。

製品によって認証制度が異なる

すべての顔認証システムが同じ精度を持っているわけではありません。経年による顔の変化や、マスク・眼鏡・髪型の変化にどこまで対応できるかは製品によって大きく異なります。中には、認証エラーが起きやすかったり、特定条件下で精度が著しく低下したりするものも存在します。

導入にあたっては、実際の使用環境に近い条件での動作検証や、なりすまし防止機能の有無、アップデートによる性能維持の仕組みなどを確認することが不可欠です。

プライバシーに配慮する必要がある

顔認証システムで取り扱う顔データは、個人情報保護法においても「個人情報」に分類されます。そのため、取得時には利用目的を明示し、本人の同意を得ることが求められます。さらに、利用目的を超えたデータ使用や長期間の不必要な保存は避け、厳重な管理体制を敷くことが重要です。

データ保管には暗号化やアクセス制限を施し、万が一の漏洩防止に努めることで、利用者からの信頼を確保できます。

顔認証システムにおけるカメラの重要性

顔認証システムにおけるカメラの重要性

顔認証システムにおいてカメラは、本人確認の精度やスピードを左右する中核的な役割を担います。利用者の顔画像はカメラで撮影され、目や鼻、口などの特徴点や位置・大きさを分析しデータ化されます。

このデータを事前に登録された情報と照合することで、本人かどうかを高精度に判断します。そのため、カメラが鮮明に特徴を捉えられなければ正確な認証は難しくなります。解像度や光の影響への耐性、暗所での撮影性能などは、導入後の運用品質に直結します。

また、顔認証用カメラには「性能面」での重要性が求められます。まず、解像度と画質は根幹です。撮影が不鮮明だと、本人を「別人」と誤認したり、逆に他人を「本人」と判定してしまうリスクが高まります。認証精度を維持するためには、特徴点を細かく識別できる鮮明な映像が必要です。

次に、動きへの対応も欠かせません。入退室やイベント入場などでは利用者が歩きながら認証される場面も多く、フレームレートやシャッタースピードが不足していると、ブレや遅延によって誤認証が発生します。スムーズでストレスのない認証には、動体補正に強いカメラが不可欠です。

さらに、設置環境への適合性も考慮しなければなりません。逆光や西日が差し込む場所、夜間や照明が不十分な環境では、標準的なカメラでは正確な認証が難しくなります。赤外線対応やHDR機能を備えたカメラを選ぶことで、暗所や明暗差の大きい環境でも安定した認証が可能になります。

このように、カメラは単なる映像取得装置ではなく、顔認証システムの精度・速度・安全性を支える基盤です。

カメラによる顔認証システムの活用事例

カメラによる顔認証システムの活用事例

カメラを用いた顔認証システムは、さまざまなシーンで活用されています。では、実際にどのような場所で活躍しているのか、活用事例を詳しく見ていきましょう。

加賀市が顔認証とマイナンバーカードを活用した「スマートパス構想」を本格始動

加賀市と株式会社Liquidが進める「加賀市版スマートパス構想」は、顔認証とマイナンバーカードによる公的個人認証を組み合わせた生体パスポートを活用し、市内の多様なサービスを“手ぶら”で利用できる仕組みを整備する取り組みです。

2023年度に試験運用を行い、2024年3月18日から本格的な提供を開始しました。導入初期段階では、医療機関、屋内遊戯施設、避難所などで活用が始まっています。加賀市医療センターでは、生体パスポートやマイナンバーカードによって診察受付が可能になり、診察券レス化と受付時間の短縮を実現しました。

「かがにこにこパーク」では、市民が利用する「にこパス」に加え、顔認証やマイナンバーカードでの入場が可能となり、パス忘れ時の事務手続き削減や混雑時の待ち時間短縮に寄与しています。災害時には避難所に設置された端末で顔認証やマイナンバーカードを用いた迅速な本人確認が行え、避難者情報の正確な把握と安全確保が容易になりました。

今後は、医療機関における予約から決済までの一括管理、交通機関での顔認証決済や割引対応、観光施設でのふるさと納税手続きの簡素化など、中長期的な展開によって生活や観光の利便性向上と地域活性化を目指しています。

※Buddy Net CONNECT編集部にて、「顔認証で様々なサービスを“手ぶら”で利用できる「加賀市版スマートパス構想」を始動します」(加賀市)を参照し、作成

自治体施設での顔認証・サーマルカメラ活用による感染症対策の推進

自治体施設では、新型コロナウイルスやインフルエンザなど感染症の拡大防止を目的に、顔認証機能を備えたサーマルカメラの導入が進んでいます。例えば、知多市の勤労文化会館では、いかのような取り組みが行われています。

「7月から全面的に開館している勤労文化会館に新型コロナウイルス感染症防止対策のひとつ として、顔認証AIを搭載した自動体温測定システムを導入しました。この機器の導入には、 令和2年度文化芸術振興補助金(文化施設の感染症防止対策事業)を活用しています。」
(引用:知多市『勤労文化会館に顔認証AI自動体温測定システム機器を 導入しました』2020年7月21日)

非接触での体温測定と本人確認を同時に行えるため、来館者の安全確保と円滑な運営が可能となっています。

また、安中市ではNTT東日本と連携し、サーマルカメラ「FACE360」を用いた実証実験を令和3年1月20日から2月22日にかけて実施しました。この取り組みでは、職員の登退庁時や外出後の帰庁時に非接触で体温測定と顔認証を行い、測定結果をデータとして保存します。

データは体温管理や勤務時間の確認に活用し、感染症対策の有効性や業務効率化への可能性を検証しました。これらの事例は、施設利用者や職員の安心・安全を守りながら、自治体業務のデジタル化と効率化を促進する好例といえます。

※Buddy Net CONNECT編集部にて、「勤労文化会館に顔認証AI自動体温測定システム機器を導入しました」(知多市)、「サーマルカメラの活用による感染症対策等を目的とした実証実験について」(安中市)を参照し、作成

世田谷区、会計年度任用職員の勤怠管理に顔認証システムを本格導入

2024年4月22日、株式会社トリプルアイズは、自社の顔認証勤怠システム「AIZE」が東京都世田谷区の会計年度任用職員の出退勤管理に採用されたことを発表しました。世田谷区では、これまで紙の出勤簿に出退勤時間を記入する方式を採用していましたが、記録や確認作業の負担、紙管理の煩雑さが課題となっていました。そこで、保育園や学校、図書館など約500カ所、年間延べ6400人規模の職員を対象に、クラウド型顔認証システムを導入し、8月から本格運用を開始予定です。

タブレット端末を使ってクラウド上の画像認識プラットフォーム「AIZE」と連携し、出退勤や有給休暇を含む勤怠情報を可視化しました。

これにより、勤務状況の把握と管理業務の効率化が図れます。

※Buddy Net CONNECT編集部にて、「大規模自治体で初、世田谷区がAI顔認証を勤怠管理に採用→非常勤職員向けにトリプルアイズが提供」(株式会社トリプルアイズ)を参照し、作成

【株式会社トリプルアイズ様について】

株式会社トリプルアイズ様コーポレートロゴ

株式会社トリプルアイズ様は、AIプラットフォームとシステムインテグレーションの二刀流でDXイノベーションを実現するITベンチャーです。囲碁AI世界大会2位の実績をお持ちで、AIの社会実装で社会課題の解決に貢献されています。

所在地:東京都港区芝浦3-4-1 グランパークタワー 32F
東京証券取引所グロース市場(証券コード:5026)
代表:山田 雄一郎
事業内容:システムインテグレーション及びAIプラットフォームの提供
URL:https://www.3-ize.jp/

バディネットがお手伝いできること

日本全国をカバーする施工・保守体制を有するバディネットでは、24時間365日有人対応が可能な全3拠点のコンタクトセンターを活用することで、顔認証システムの導入に必要となる現場調査、設計、電気・通信工事、機器の設置工事、保守までをワンストップで対応することが可能です。

特にクラウドカメラの導入施工に関して、業界随一の実績を誇るバディネットは、商業施設で働くスタッフの出勤・退勤時間を顔認証システムで管理するAIカメラ端末の入れ替え案件など幅広い施工実績があります。

顔認証システムの導入に必要な電気やネットワーク等のインフラ構築工事から、認証端末の取り付け、サーバーの設置、電気錠・自動ドアとの連携、システム設定と動作確認テストまで豊富な知見を持った専門スタッフが数多く在籍しており、事業者様の様々な要望に柔軟に対応し、より適した施工・保守方法をご提案させていただきます。

まとめ

顔認証システムは、非接触かつ高精度で本人確認ができる次世代の認証技術として、さまざまな場面で活用されています。業務の効率化やセキュリティ強化に貢献しながら、利用者にとってもスムーズでストレスのない体験を提供します。

導入にあたっては、目的に応じたカメラの選定や個人情報保護への配慮が欠かせません。技術の特性を正しく理解し、安心・安全な環境づくりに活かしていきましょう。

この記事の著者

Buddy Net CONNECT編集部

Buddy Net CONNECT編集部では、デジタル上に不足している業界の情報量を増やし、通信建設業界をアップデートしていくための取り組みとして、IoT・情報通信/エネルギー業界ニュースを発信しています。記事コンテンツは、エンジニアリング事業部とコーポレートブランディングの責任者監修のもと公開しております。

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